羊乳製チーズとアプリコット

6月中旬になり、イギリスでは、いたるところで、美味しそうな旬の杏(アプリコット)を見かけるようになりました。ほとんどがヨーロッパ産。
鮮やかな赤みのある大きめの杏が山積みになっているのはこの季節ならでは。こんなに美味しそうなアプリコットがたくさん出回っている期間はすごく短いのです・・・アプリコットの風味は、山羊乳チーズや、羊乳チーズと好相性。まずは、簡単なアプリコットのコンポート(我が家の定番朝食)

レシピを書くまでもなく作り方はいたって簡単。材料は上の写真にあるものだけ。蜂蜜だけでなく、お砂糖も入れて甘味を強くするとハードチーズと合わせやすくなります。杏が柔らかくなったら、杏だけお鍋から出して、残りはシロップ状になるまで、煮詰めます。朝食時に作っていると、そのまま有無を言わさず、家族が完食。ヨーグルトと一緒にいただくとペロリなのです・・・

昔、昔、ローマ人がイギリスへ侵入(?)した際、いつしかペコリーノ(イタリアの羊乳チーズ代表)らしきチーズの製法をイギリスに伝えたのかもしれないというのはチーズ史でよく言われること。本ポストのメイン写真とこちらのチーズは、ロンドンとコッツウォルズ地方の境界のちょうど間に位置する、バークシャーで作られているSpenwood という羊乳セミハードのチーズ。じっくり味わうと、ハード系羊乳チーズ特有のアーモンドを思わせる風味。アーモンドとアプリコットって、実は植物学的(?)にも近縁で、だからこそ味わいの相性もよく、アーモンドとアプリコットを一緒にしたような伝統的なデザートがヨーロッパには、たくさん!そこにヒントを得て、Spenwood と、杏のコンポートのシロップを合わせると、コンポートがチーズのミルク感とアーモンドのような風味をさらに引き出し、それが杏本来の華やかな風味とうまく交わります。羊乳チーズは牛乳製に比べると、軽やかな口当たり。午後の軽めのおやつ、紅茶と一緒にぜひ!実は・・・朝食時に作ったコンポートは即、家族に食べられてしまい、寂しく残されていたシロップを活用したのでした(涙)。このSpenwood、もし、しっとりと若めのものであれば、柚子風味羊羹などと一緒にいただくのもなかなか美味。その際は、ぜひ緑茶で(去年のクリスマスチーズ会でこれをご紹介した際、ちょっと驚かれました。こちらの写真)。ロックダウンもさらに緩和となり、明日は地元のファーマーズマーケット!久しぶり。きっと杏がたくさんかなぁと思うと、ワクワクなのです。あんずは日本の梅にも非常に近く、海外生活も長くなってくると、杏でなんちゃって梅干し作りをやってみようかと思うのです。今年はロックダウンのお陰で赤紫蘇の成長も順調なので、余計にそう考えてしまいます。
最後に・・・このようなチーズと食べ物のペアリングの概念は、チーズのテイスティング経験と知識を身につけると、必然的にそして、本能的にわかるようになります。その基礎知識を身につけることができるのが、Academy of Cheese Level 1。Culture & Culture では、初のオンライン Academy of Cheese Level 1 コースを7月下旬(4日間コース)にまずは試験的に極少人数で開講する方向で、日程調整しております。本コースにご興味がある方は、Academy of Cheese 専用ページのフォームから、まずは、お問い合わせください。詳細決まり次第、日程、その他、インスタFB等で告知予定です。