世界のチーズ(南フランス)
le marché des Halles de Menton
チーズに見る地域性
世界が認めるチーズ生産大国フランス。食べ物や飲み物、農産物においてはテロワール(土地の味、農産物が育つ土地の伝統、自然環境を表すような味わい)を大切にするお国柄。であればこそ、各地域ごと、それぞれに伝統的なご当地チーズというものがあります。チーズとは、自然環境、歴史の流れ、社会環境に合わせて、発展、発達するという側面を持ち、それこそがチーズという食べ物の魅力。同じフランスでも、それぞれの地域ごとで、伝統チーズのスタイルは異なり、それは自然環境、社会環境、歴史を物語っています。さらに、チーズは販売されている場所(流通経路)でも、様相を異にするため、各地域のチーズを観察していると実に様々なものが見え、旅行の楽しみも増えるものです。数あるチーズの中から、その土地でこそ食べてみたいチーズ!というものが見えるようになり、食べた時の美味しさも増すものです。ただ・・・チーズを観察するには、ちょっとしたチーズ知識が必要になってくるのは事実。チーズでヨーロッパ生活をさらに楽しく!これからもチーズを通じ、そのお手伝いをしていけたらいいなと思うものです。
4月春先の、南フランス、地中海沿いコートダジュールに位置するエズ (Eze - 鷲ノ巣村として有名な村)近くのスーパーのチーズ売り場と、イタリアに一番近いフランスの街であるマントン (Menton)にある、マーケットのチーズ売り場を観察して見えてくるものは?
Eze 近くのスーパーU
羊乳チーズ、山羊乳チーズが多い!これは、春先という山羊乳チーズの季節だから?そして、目に留まったのは、コルシカ島を代表する伝統チーズBrocciu (ブロッチュ - 羊乳メインのフレッシュなリコッタスタイル)。フランス本土でブロッチュ?春先だから??そして、そのお隣には、コルシカ産のチーズが並んでいます。なるほど、地図で確認してみると、コルシカ島はすぐ近く。コルシカ島も、コートダジュール地域も近年まで、イタリアに併合されたり、フランスに併合されたりと複雑な歴史を背負っているのだということにまで、思いを馳せてしまうものです。街の雰囲気もなんとなく、イタリアのような雰囲気を持ち、街中でもイタリア語がよく聞こえてきます。フランス語を話している地元の人たちも別れの挨拶は、チャオチャオ。
チーズ専門店、フランス的に言えば、フロマジェリ (Fromagerie)が、出店しているマーケット。やはり、山羊乳、羊乳チーズが大半を占めます。マーケットでは、チーズが呼吸できるように(生きているチーズにとって快適な環境にあり)個別包装はなく、同じチーズで熟成法の違いバージョンで数種が並んでいるものもあります。スーパーではなかなか見かけることができない、外皮もできていない、いかにもフレッシュなチーズもチラホラ。真の意味でのご当地チーズ。フレッシュ、作りたてであればこその味わいを楽しみたいチーズたち。そして何故か、サヴォア系のハード、セミハードが多いことに気づきます。地図で位置を確認してみると、南仏でありながら、実はサヴォアもすぐ近くだということが分かります。そしてふと・・・あれ?そういえば、フランスが誇る、コンテチーズを見かけなかったなぁと・・・見過ごしただけ?