The end of 2020 – unexpected gifts from lockdown(ロックダウンだったからこそ得られたもの)

世界の人々が買い溜めに走る中・・・本来、保存食であるチーズ。チーズが身近な生活であればこそ、食に対する不安を感じることなく、むしろ、冷静でいられたことに感謝。スーパーの棚が空っぽになっていく中で、チーズ専門店がいつしか、八百屋さん、パスタ屋さんも兼ねるようになったことに、頼もしささえ感じました。

海外生活をしている日本人として、不安になるのはむしろ、世界の物流の乱れ・・・日常生活の中で、日本からの輸入物に頼っている部分が大きいのです。ふと、キッチンの棚の奥で数年もの間、眠っていた焼酎が目につき、即、焼酎を味醂へ変身させてみました!oお味噌作りのための麹が少し残っていたのは幸いでした。8ヶ月後・・・自家製味醂の美味しさにびっくり!自家製みりん、正直、コストは考えることを拒否したくなるくらい高いです。でもでも、香りが高く、とても美味しく。これは本当に想定外でした。パンデミックがなければ、きっと味醂を作ってみようなど思いもしなかったはずなのです。そして、何と言っても、酒粕ならぬ味醂粕ができるのです。当然、行き着くところは、チーズの粕漬けなのであります(笑)

イギリスの田舎で暮らす日本人なら絶対にやる、紫蘇栽培。そして誰もがぶつかる、赤紫蘇の栽培の難しさ・・・春、初夏のロックダウン。ずっとお家生活。家を空けることがなかったからこそ、毎日、毎日こまめにチェックしながら、自宅のマイクロテロワールまで考えることができました。そして、その結果、赤紫蘇栽培に初めて成功!!これは、本当にロックダウンライフのお陰。ロックダウンがなければ、赤紫蘇はなかった・・・赤紫蘇は、イギリスでは本当に手が掛かるのです。でも、手が掛かる分、青紫蘇以上に幸せをもたらしてくれます。因みに・・・紫蘇の種はすでにイギリス国内で入手できます。初夏には苗だって購入できる時代。イギリスでは、紫蘇は数年前からちょっとした流行りにもなっているようです。紫蘇とチーズの素敵なマリアージュについては、こちらへ・・・

赤紫蘇があれば・・・日本人なら当然、梅干し!イギリスで梅仕事。これは数年前からの密かな夢でした。もちろん、梅は入手できないので杏子を代用。梅に一番近いフルーツは杏子。杏子はイギリスでも生産されていますが、なんといってもちょっと海を超えたヨーロッパ大陸は大得意な農産物。これまた、ロックダウンのお陰で、土用干しまでできて、無事、梅干しならぬ、杏子干し作りに成功。梅干し副産物の梅酢、赤紫蘇シロップなどなど赤紫蘇って本当、素晴らしい!杏子干しの出来ですが、まだ熟成過程にあるので何とも言えないのですが、これはまだまだ改善、研究の余地大いに有りそう。つまり、2021年の春夏、またまたロックダウンだったら、こちらに没頭できるという楽しみができました。杏子干しの一番の素晴らしい点は、全てイギリス産のもので作ることができるのです。輸入物ゼロ。さらに・・・青魚の梅煮は、梅干しよりも、この杏子干しの方が美味しいかも!特に鯖の梅煮にこの杏子干しを使ってみたら、自分で言うのも何ですが・・・絶品でした!微妙なフルーティー感が良い隠し味になっていました。

梅酢があれば、紅生姜が簡単にできるのです!!これは、恥ずかしながら知りませんでした・・・
そして、紅生姜があれば、たこ焼き、お好み焼きのレベルが格段に上がります!!
パンデミック直前に、日本からわざわざ、たこ焼き器を運んでプレゼントしてくれた友人に大感謝でした!!当然、タコがなくてもチーズ焼きとかできるわけですし。子どもも楽しいたこ焼き。ロックダウン中は随分とたこ焼き、チーズ焼きを食べたような気がします・・・

パンデミックで嬉しいことの一つ・・・それは、世界中のオンライン講座にアクセスできること!これまで、田舎暮らしのせいで参加できなかった様々なクラス。チーズ関連の講座、セミナーを開催する身ではありますが、そんな私だって常に学びたいことは沢山!密かにいろいろなセミナーに参加してみました。夏の味を保存する金山寺味噌作りクラスにも参加。本来であれば、ロンドンまで出向かないと参加できないクラス・・・世界のオンライン講座に参加できる。これは学びたい身には本当に嬉しい社会現象ですね!因みに金山寺味噌作りの際も、紫蘇の有り難みが、よくわかりました。金山寺味噌はクリーム系のチーズとも相性が非常によろしく、そこに重厚感のある日本酒など合わせたら、本当、幸せなひと時を過ごすことができます。もちろん、私自身、今後はチーズをベースにどんな楽しみをどういう形でお伝えできるかということも、もちろん考えています!

在英日本人の方ならご周知の通り・・・
これまで、日本帰国の際にせっせとスーツケースに詰め込んでいた日本酒・・・
パンデミックの影響で、イギリス国内、オンライン小売りで買いやすくなりましたよね。オンラインで買うことができるお酒の種類が一気に増えました!!これは嬉しい限りです!!

後一つのイギリスでのパンデミックによる社会現象・・・やはり、在英日本人のサバイバル力??麹そのものを作る方達が一気に増えた!??味噌を自分で作るというのは、在英期間が長い人たちにとっては普通のこととなってきます。ただ、麹をどう入手するか?というのは、いつもちょっとした課題なのです。日本食スーパーでも扱っていますし、日本へ帰国した際にスーツケースに詰めるという手もあります。かくいう私も、日本酒同様、日本帰国の際に必ず、スーツケースに麹を詰めていました。しかし、まだまだ日本食スーパーで大量に扱っているわけではなく、さらに、需要は相当に上がっているはずなのです・・・お米はヨーロッパで生産されているので、イギリス国内で麹を作ることができるという人がいるのは本当に頼もしい限り!きっと、これもコロナウィルスパンデミックがあったからこそ起きた社会現象。どんなにチーズとパンが大好きでも、日本で生まれ、日本で育った以上、酒、味噌、醤油がないと生きていくことはできません。麹さえあれば、和の基本調味料は何とかなるものです。

ということで、今回はチーズとはあまり関係なく、前例のないような一年の最後に、海外で暮らす一人の日本人として、ポジティブなことに目を向けながら、2020年を振り返ってみました。すでに世界は新しいシステムで動き出していることがよく分かります。2021年はどんな年になるのでしょうか?日々の小さな楽しみに幸せを感じるためには、まずは命あってのこと。引き続き、感染には気をつけながら、今ある命を大切にしながら新しい一年を迎えたいものです。英語でよく言われるフレーズ、Every cloud has a silver lining. 心に染みます。直訳すれば、「どんな悪いことにも必ず、何かしら良いことがある」です。今年はよく聞いたフレーズのような気がします。Culture & Culture も、2021年は、新しくリセットされつつある世界に順応したスタイルで「チーズで日常をさらに楽しく!」を発信していきたいと思います。2021年は、まずは1月下旬にAcademy of Cheese Level 1 コースをオンラインで開講いたします。詳細はこちら。その後は、イギリスの様子をみながら、イベントを企画してまいります。来年もどうぞよろしくお願いします。皆様、どうぞ良いお年をお迎えください。