伝統農産物とは?(丹波篠山産黒豆編)

そもそも、なぜ、「丹波篠山市」が気になっていたのか?それは、もちろん「黒大豆」。日本食文化の中での大豆と、イギリス食文化の中でのチーズの立ち位置はすごく似ています。日本産大豆の質の高さは世界にも誇るべきものがあり(詳細はこちらの過去の記事)、「お節」という言葉もちらつく12月であれば、やっぱり黒豆。黒豆なら「丹波篠山市」!と随分昔からなぜか脳にはインプットされていました。数年前に、東京のチーズ専門店の方に、「スティルトンと丹波黒豆煮を一緒に食べると美味しいですよ!」っと言われたことも記憶にありました。12月といえば、ブルースティルトンが美味しい季節でもあります。

乾燥状態での白く粉をふいたような皮、粒の大きさ、さらに煮豆にした時の大きさ、艶、ふっくらとした食感が特徴と言われている丹波黒豆

「丹波篠山産丹波黒豆」、「丹波黒豆」、「北海道産黒豆」、「丹波種黒豆」には違いがあります!

姫路市から篠山へ向けて高速を車で走る途中、サービスステーションに寄ってみると、やはり黒豆商品が沢山!!黒豆茶、黒豆ショコラ、黒豆大福、などなど美味しそうなものばかり!この地域一体が、黒豆の大産地であることをヒシヒシと肌で感じます。そして、篠山到着。目の前に広がる風景は、まさに「日本昔話」の世界!!山で囲まれ、畑が広がる中に、日本ならではの伝統家屋が並んでいます。町を抜ける河原町妻入商家群と呼ばれる通りを一望すると、日本だからこその美しい佇まいの建造物がまわりの自然景観と見事に調和しています。さすが、日本の伝統建造物保存地区。恥ずかしながら、日本にこのように伝統的な地区を丸ごと指定して保護するシステムがあることを初めて知りました。篠山はその昔、京都へ続く交通の要として栄えただけあり、この地を散策すると京文化も感じます。今回、訪れてみて初めて知ったのは、この地の郷土料理は牡丹鍋(猪鍋)!丹波は陶器の産地でもあり、丹波焼は日本六古窯の一つであること!もちろん、美しい器を購入。イギリスへの良いお土産になりました。無計画に、たった半日しか滞在できなかったために、牡丹鍋を楽しむことも丹波焼の窯巡りもできず、次回日本帰国の際は計画的にじっくり再訪したい!!と強く思いながら、この地を後にしたのです。

「丹波黒豆」とは、丹波地方(今の兵庫県〜京都府あたり)を発祥とする黒豆の品種の一つ。GI(地理的表示保護)指定されていないため(ヨーロッパで言うところのPDO、AOP、DOCG等)現在は必ずしも丹波地方で生産されているとは限りません。ただし、丹波地方外で生産されている場合は、「丹波種黒豆」と表示される傾向にあるようです。丹波篠山地方の日中の寒暖差や土壌といった独特の気候風土が丹波篠山産のものを丹波黒豆の中でも逸品にする所以であり、丹波篠山産のものにはその表示がなされています。そして当然、この地の小豆も高品質であり、大納言などは粒がとても大きく、見るからに艶やかです!「丹波篠山産」は農産物である大豆や小豆のブランドとして定着していることがよく分かります。これこそが、まさにイギリス伝統チーズとの共通点!ヨーロッパのチーズ文化、イギリスのチーズ文化について体系的に学ぶと、こういったことが自然とはっきりと見えてくるようになります。そして、美味しいものを追求する目が養われていくのです(笑)。丹波篠山産の丹波黒豆。本当に美味しく格別です。イギリスへ戻った後のお節作りはとっても楽しかったです!お陰で良いお正月を迎えることができました。2023年もチーズの世界の面白さ、美味しさ、奥深さを追求していきたいと思います。最後までお読みいただき、ありがとうございました。今年もどうぞよろしくお願いします!

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