マルセイユ & プロバンス 食文化発見

4月のマルセイユ、プロバンス。チーズ視点での必須は、 Brousse du Rove ブルース・デュ・ロヴ(直訳すれば、ロヴのフレッシュチーズ。Rove とは山羊の一種。本来、南仏土着の山羊であり、マルセイユにほど近い、Le Rove という村に因んでこの名がついたとか???)マルセイユ到着当日の夕方、お散歩をしていると、住宅街にあるコンビニみたいなところ(イギリス風に言えば、まさにNews Agent)にいきなり大きな看板。Brousse du Rove 売ってますと・・・入ってみるとなるほど。山積み!そして、他にもフレッシュ山羊乳チーズがたくさん。山羊乳チーズ好きのテンション上がります(笑)。マルセイユ中心地にあるイートインができるお惣菜屋さん風のデリMorrou Traiteur ではRoveの熟成チーズも扱っていました。 感動のおいしさ。詳細はこちら

マルセイユ、プロバンスあたりでは普通に近隣諸国のチーズもとりあつかっているのをみると、やはり地中海食文化であることを感じさせます(つまり、オリーブオイル圏)。郷土料理では、王道でブイヤベース、スープドポワソン、そしてこれまたサラダリヨネーゼ(リヨン風サラダ)とともにフランス2大サラダ(??)に数えられるサラダニシソワーズ(ニース風サラダ)はどこででも見かけます。たかがサラダ、されどサラダ。お店の個性も表れるものです。マルセイユ風サラダなるものはなく、どうやらそのままニース風サラダで通っている模様。イギリス生活が長い日本人がフランスの海沿いにきたら、やはり一番嬉しいのは生魚(これはボルドーも同じ。こちらもぜひ!)。生魚のマリネ(ペルー発祥とされるCevicheセビチェ)や、お魚のタルタルはレストランでよく見かけます。マルセイユは毎日、獲れたての魚介類が並ぶマルシェが立つくらい、魚介類が豊富な地域柄。普通にマルセイユ市民もこの市場でお魚を買うとのことです。新鮮すぎる半透明のイカやまだピクピクと動いているお魚たちやニョロニョロと動いているタコが売られているのを日本国外で見たのは初めてでした。変な意味で感動。

マルセイユから少し東へ行くと、連綿と続く石灰岩の断崖と紺碧の地中海を望む壮観な景色を見渡せるカランク国立公園。トレッキングと海水浴を楽しめます(4月はまだ海水浴には早過ぎますが・・・)気候変動により、真夏は暑すぎて山火事が起こる危険性もあることから、最近では入場制限がかかることもあるそうです。行くなら、初夏がベストかもですね。マルセイユから一番行きやすい、カランクソミウまで足を伸ばし、紺碧の海を眺めながらビストロランチ。ランチプレートに入っていた、山羊乳チーズのフライもどき・・・ちょうど、ギリシャのチーズ料理「スパナコピタ」とトルコのチーズスナック、「シガラボレイ」を足して2で割ったような感じ。やはり、この地は地中海貿易を通じて食文化が交わるところなのでしょう。

マルセイユには地中海文明博物館という巨大な博物館もあり、この博物館は地中海食文化そのものについて荘厳に物語っています。こちらについては、また改めて別記事で・・・実は、この博物館、今回マルセイユ訪問で一番感動したのです。
プロバンスといえば、カリソンという焼き菓子が有名ですが、あまりにも知らせすぎたせいか、フランス全土、さらにはロンドンでさえも見かけます。実際にプロバンスに行って目を引くものは、むしろカリソン以外の焼き菓子。有名どころはナヴェット(詳細はこちら)。ナヴェットはあちらこちらで見かけます。地元の人に愛されているということがよくわかる老舗風のお店には行例も。いわゆるフランスの可愛らしい小さな町、エクセンプロバンスにある、地元の人たちに愛されているマドレーヌ屋さん (Christophe Madeleines) には長蛇の列。知る人ぞ知るお店らしく、ウェブサイトもSNSもなし??。マドレーヌは南仏発祥ではないのですが、マルセイユ在住のフランス人ファミリーに、絶対にここに行って!と指示されていたからこそめぐり逢えた、きっと世界で一番美味しいであろうマドレーヌ。絶品でした!!写真からもその美味しさが伝わるはず。

フランスで地元に根ざす食材を知るには、やはりマルシェ。プロバンスはフルーツ、ハーブも豊富な地域。マルシェで試食させていただいた、ラベンダー風味の杏子のコンフィチュールや英語で言うところのエルサレムアーティチョーク(日本語でいうところの菊芋)とパプリカのローストをペーストにしたディッブ、タプナード(黒オリーブとアンチョビーのペースト)など、プロバンスならではの食材を活かしたものはどれも本当に美味しい!

試食をさせてくれると言うことは、味に自信あり。
それはアルチザンチーズの世界も同じ。
美味しいとついつい買っちゃうものです

個人的にパン作りが好きなので、フランスでは必ずパン屋さんも覗くことにしています。チーズ繋ぐご縁で知り合った日本人欧州パン事情にとても詳しいKS氏に教えてもらったエクスアンプロバンスにあるクラシックなパン屋さん、Farinoman Fou 。お店に入った瞬間から、お店のオーラが違いました!その辺の一般的なパン屋さんとは全く違うオーラ。お店のこだわりがなんなのか、すぐに分かります!残念ながら看板商品とされているタブナードパンは買えませんでしたが(毎日、午前中で完売とのこと)、アンズとヘーゼルナッツ入りライ麦パンをお勧めしてもらいました。最高でした。杏子とヘーゼルナッツ入りライ麦パン。南仏得意の山羊乳チーズと合うこと間違いなし!結局、What grows together go together (同郷のもの相性が良い)ということなんですよね。

というわけで、マルセイユ、プロバンス食の備忘録。最後までお読みいただきありがとうございました。チーズの世界を知ると、地域に根ざしたヨーロッパの食文化も広く、深く見えてくるようになるなと我ながら思うものです。