English Plums & Apples – What is Chutney? / チャツネとは?作り方、そしてそこから見えるヨーロッパ史

夏休みも終盤となる8月下旬あたり、いたるところでこんな光景に遭遇します。枝もたわわにリンゴの実がびっしり。一般家庭のお庭にリンゴの木がある場合も多く、我が家もご近所さんから沢山いただきます。あ、そろそろチャツネ作りの季節だと思う瞬間

毎年夏休みの最終週は、子ども達と一緒に近くの果樹園へPYO (Pick Your Own – フルーツ狩り)。この頃になると、夏休みの子どものアクティビティのネタも尽きてくる頃・・・最近は子どもたちもティーン突入気味で行くのを面倒臭がるようにもなりましたが、やはりこの大量のフルーツを目の当たりにすると、興奮してしまい、良く働いてくれます。自分の好みに熟成しているフルーツ、好みのタイプを選べるだけでなく、収穫という労働力、さらには輸送コストが省かれるという原理が働くので、フルーツのコストはもう、無いも同然。左は、Braeburn という品種の生食用リンゴ。右はMarjorie というイギリスプラムの一種。ちなみに、メジャーなイギリスプラムはVictoria。そう、大英帝国時代に発見された品種でそのまま当時の女王様のお名前が付けられたとか。Victoria Plumについては、こちら(6年前もチャツネ作っていたのね・・・と我ながら感心・・・)。

さて、肝心のチャツネとは何か・・・
(かつて開催したイギリスチーズ講座のレジュメの一部公開です)


まず、チャツネとはなにか・・・?

  • 野菜やフルーツを刻んでスパイスを混ぜた、食事の付け添えとなるもの
  • 発祥は紀元前500年南アジア(インド)だが、世界各地に伝わり食文化、社会環境に合わせながら各文化で独自のものが発達
  • ヨーロッパに伝わったのは、17世紀頃
  • イギリスでは、晩夏〜秋に大量に収穫された果物や野菜をスパイス、酢、砂糖で煮込んで保存食とする習慣ができた(↑写真のラベルの通り、チャツネにも色々な種類があるのです・・・)
  • ローストディナーの残り(コールドミート)やハムなどの付け添え、サンドイッチの具材としても使われる
  • チーズボードには必ずと言っていいほど添えられる

基本のレシピ(下記は参考までに)・・・
材料は、あくまでお好みで!リンゴ、玉ねぎは必須。以下のものにプラムやマンゴーなどチャツネと結びつきそうなフルーツだけでなく、ナスやズッキーニ、パプリカなどのお野菜もオッケー。ドライフルーツ、スパイスもお好みで。お酢もリンゴ酢、穀物酢も有り。作れば作るほど、自分だけのレシピができます。何だか日本で言うところの自家製お味噌のようなもの??

<基本材料>

  • 玉ねぎ (500g : 千切り)
  • りんご (1.3kg : 生食用りんごは皮付きのまま、クッキングタイプは皮をむく)
  • サルタナレーズン (150g)
  • 白ワインビネガー (600ml)
  • ブラウンシュガー (300g)
  • 塩 (20g)
  • ミックススパイス (小さじ3)
  • グランドジンジャー (小さじ1)
  • サラダ油 (適宜)
  1. ジャム瓶を綺麗に洗い、煮沸消毒しておく(またはオーブンに入れ、120度くらいに加熱。瓶は予めオーブンに入れてからオーブンを加熱する!温まったオーブンにいきなり瓶を入れると瓶が割れる場合も・・・)
  2. 厚底の鍋に油をひき(油なしでもオッケー)、玉ねぎをゆっくりと炒める(焦げないように注意)
  3. 玉ねぎがしんなりとなり、甘みが出てきたら他の材料を全て入れて沸騰させる
  4. 沸騰したら、弱火にしてトロみが出るくらいまで(水分がなくなるまで)、
    じっくりと煮込む (1.5〜2時間程度、果物の状態に合わせて・・・)

今回、リンゴはGranny Smith (最近は日本でも見かけるクッキングアップル)、Cox (酸味が強く、シャキッと歯応えのクリスプな生食用リンゴ)、Braeburn (同じくシャキッとした食感でやや甘味のあるタイプ)の3種をミックス。プラムは、Marjorie オンリー。使ったリンゴはこの写真のわずか4分の1程度でした。毎年、第2弾で、リンゴと玉ねぎだけのシンプルチャツネも作ってるような・・・

今回の材料たち・・・リンゴが豊富なイギリスだから、リンゴ系のお酢も種類が実に豊富!チャツネがヨーロッパに伝わったのが17世紀→ヨーロッパがスパイスを求めて世界へ進出し始めた頃・・・(結局、その名残なんですよね。これ大事な史実かも)

最初はこんな感じです。とにかく、お野菜を切る作業が大変ですが後は時間をかけて煮るだけ。煮詰まってきた段階で、お鍋の底が焦げないよう、底を杓文字でなでるようにかき混ぜます。

←ぜひ、サウンドオンで!!こんな感じで煮詰めていきます。時間はかかりますが、この音に美味しさの幸せを感じますよ


瓶に詰めてお休みなさーい(セロファンはオプションです)。少なくとも2ヶ月くらいお休みさせた方が、まろやかでまとまりのある味わいに・・・出来立ては酸味が際立つシャープなお味です。
さて・・・イギリスで生活していると、冷蔵庫の中は、いつの間にか瓶物でいっぱいになっていませんか?ヨーロッパ、ジャム、蜂蜜など瓶詰め食品多いですよね。空瓶は捨てずに保存しておくと、こんな時にエコに便利!今週末あたりで、PYOを終了する農家さん多々です。今週末はお天気も良さそうですので、ぜひぜひ、美味しいプラムやリンゴ、洋梨を求めてお出かけしてみるのも楽しいはず。日本ではまだまだあまり見かけないチャツネ。お土産にもいいですね。最後に一言・・・チャツネだけは手作りが一番美味しいです。絶対に!実は美味しいイギリス。最後までお読みいただきありがとうございました。